りんごジュースを8種類飲みくらべてわかったこと。
突然なのですが、この前長野に行ったとき、こんなものを見つけたのですよ。
うわお、りんごジュースがいっぱい!!
りんごジュースの山だ。りんごジュースだけで冷蔵庫ひとつを使い切っているのだ。
さすがは長野県。りんごへの愛がつまっている。こんな光景見たことない。
品種ごとにジュースを作っているとは、考えもしなかった。
ええ、なになに。ふじ、つがる……このへんは知ってる。
紅玉、も聞いたことがある。たしか、生だとすっぱいけど、
加熱してアップルパイにするとおいしいやつってだっけ?
秋映やシナノゴールドは「信州りんご3兄弟」ってポスターが
どこかに貼ってあったのを見たことがある。あたらしい品種なのかな。
でもグラニースミスとかブラムリーってのは聞いたことがない。
どんなりんごなんだろうか。気になるぞ。
いや、そもそもだ。りんごジュースってそんなに特徴あったっけか??
果汁100%のものも何度も飲んだことあるけど、
そんなにちがいなんて感じたことはなかったような気がする。
こんなにたくさん種類があるけど、ほんとにぜんぶ味がちがうのか?
じつはそんなに変わらないんじゃないの?
そんないじわるな考えもあたまをよぎる。
よし、じゃあこれをぜんぶ飲みくらべてみるとしようじゃないか。
ということでぜんぶ買った。7本で2000円くらいした。ただ、冷静になったら負けだとおもった。
せっかくなので、友人たちにもふるまおう、
そしてみんなであーだこーだ言おう、とおもってもう1瓶ずつ買い足した。
後悔はしていない。
しれっと増えているが、シナノスイートはこのサイズが売り切れていたのででかいやつを買った。全8種類。
家があまりにも散らかっていて友人を招待できないため、外に出た。
今回はりんごジュースの飲みくらべのために。5人の友人たちが集まってくれた。
こうして並べてみると、見た目でそれぞれ特徴があることがよくわかる。
赤から黄色まで、色もさまざま。これがほんとうにおなじ果物なのか。
「つがる」は濁っているし、「シナノゴールド」は透き通る透明感の持ち主だ。
チャート表を用意した。これで味の傾向を分析するつもりである。
さて、じゃあ飲みくらべをしてみようか!
1:ふじ
さっそく写真を取り損ねたので家での写真です。
まずはいちばんオーソドックスとおもわれる「ふじ」からにした。
おそらく、このりんごを食べたことがないというひとはいないだろう。
さて、「ふじ」100%のりんごジュースはどんな味なのか。
・いつものりんごジュースの味に近い。
・酸味と甘みのバランスがとれている。オーソドックス。
・蜜の入ったりんごを絞ってそのまま飲んでいるような感じ。
参加者の意見を抜粋してみた。
なるほど、いつも飲む「りんご果汁100%」のジュースはこういう味だった。
そうか、いままで気にしたことがなかったけども、あれは「ふじ」だったんだな。
チャートに記入するならばここだ。
これを中心に置かなかったことが後々問題となる
2:つがる
生産量がふじに次いで2番目におおいりんごだそうです。
2番目は「つがる」名前は聞くが、
じゃあどんな味だったか、と言われるとなかなか思い出せない。
ジュースにすると、どうちがうんだろう。特徴は出るんだろうか?
・香りがいい。にんじんケーキのような香り。
・「ふじ」よりも甘味がつよい。
・後味はさっぱりしていてさわやか。
香りが特徴的なのだ。ぜんぜんイメージがちがうのでぜひ飲んでみていただきたい。
「ふじ」よりも甘味がつよいのだが、後味はさっぱりしていて、あとに残らない。
すっと引いていく爽快感がある。
これ、チャートにどう入れたらいいんだ。さっそく迷ってきたぞ。
悩んだ結果、このあたりだと判断。
3:ブラムリーアップル
聞いたことのないりんごだ。なんだこれは
トマトジュースのような色をしている「ブラムリーアップル」。
調べたところ、どうやらこれは加工用のりんごであるらしい。
さて、味にいったいどう違いが出るのか。
・めちゃくちゃすっぱい。甘さはない。
・野菜ジュースの香りがする。
・青臭くないトマトのよう。
香りからしてりんごジュースのイメージからはかけ離れている。
意を決して飲むと、もはやりんごジュースの味ではない。
甘さがいっさいないのだ。なんだこれは。デレ要素がない、ツンのみだ。
ただこれ、すっぱいの好きにはたまらないだろうな。レモンとかすきなひとはぜひ。
りんごジュースを頼んでこれが出てきたらぜったいに怒るけど。
酸っぱさに全振りだ。テイストはすっきり寄り
4:秋映
長野の「信州りんご3兄弟」の長男です。
長野の直売所などでおなじみの、赤いというより「黒い」にちかい色のりんごだ。
ひとつ前の「ブラムリー」がかなり衝撃的だっただけに、
ここは味に定評のあるやつを飲んでみたいところだ。さぁ、いったいどんな味なんだ。
・甘い。「ふじ」から酸味を取ったような味。
・朝食りんごヨーグルトのあのにおいがする。
・「つがる」よりも深みのある味わい。甘味が広がる。
これはかなり評判がよかった。
「つがる」もかなりおいしいジュースだったが、「秋映」はさらに甘味がつよい。
甘さがつよいぶん、果汁感がずっしりくる。コクがある味わいなのだ。
ただ、さっぱりがすきなひとは「つがる」に軍配が上がるかもしれない。
初の第一象限。「つがる」よりも甘い、というところも評価した。
5:紅玉
アップルパイなどの調理用りんごでおなじみの紅玉。
続いては「紅玉」。アップルパイはこれにかぎる、という意見もよく聞く。
「過熱をすると甘味が出る。生だとすっぱい」という話だが、
ジュースにするといったいどんな風味が出るのか。
・「ブラムリー」に似ているが、もう少しやさしい。甘さはある。
・甘みと酸味があるが、酸味が8:2で勝ってる感
・一瞬の甘さのあとに押し寄せる酸味。後味のキレがいい
やはり、「ブラムリー」と同じ系統の味であろう、という感想になった。
ただ、強烈なすっぱさでおなじりんごとは思えない「ブラムリー」に比べ、
ほんのり甘さがあるぶん、やさしいとも言えるし、かえってこわいとも言える。
すっぱいりんご好きならこっちかな。「ブラムリー」のインパクトも捨てがたいが。
「ブラムリー」に近いが、やや甘いか。という評価をした。
6:シナノゴールド
テンションが上がって、また写真を撮り忘れていた。
信州りんご3兄弟の末っ子、黄色いりんごである。
何度も名前が出てきた信州りんご3兄弟とは「秋映」、「シナノスイート」、
そしてこの「シナノゴールド」の長野生まれのりんご3種類を指すことばである。
覚えておくとたぶん長野のひとが喜んでくれるとおもう。
・「秋映」よりもさらに甘い。飲みやすい
・もったり感のある甘さ
・甘さは言うほどだとおもう。後味にセロリのような爽快感。
意見が割れたのがこの「シナノゴールド」。
おれは「ここまででもっとも甘さがつよいのでは」とおもったが、
「甘いがそこまで言うほどは甘くない」と感じるかたもいた。
りんごジュースの飲みすぎで、だんだん感覚がマヒしてきた感もある。
評価が割れたが、個人的にはもったりした甘みが押し寄せてくる、という印象。
7:グラニースミス
だんだんテーブルが宴会のようになってきた
続いては「グラニースミス」。おれ知ってるぞ。アップルパイで人気のお店だろう。
そうか、あのお店はこの品種から名前を取ったのだな。
名前は聞いても食べたことのない「グラニースミス」。ジュースのお味はいかに。
・桃の香りがする。桃ブレンドの野菜ジュースのような。
・ほどよい酸味が舌の上に残る。後味持続系。
・「ブラムリー」や「紅玉」ほどつよくない、コクのあるすっぱさ。
おなじ酸っぱい系でも「紅玉」や「ブラムリー」はサッと引くキレのいい酸味だが、
こいつはあとに残る。ただし、酸味もありつつまろやかだ。
チャートでも、この2種とはすこし離れた位置に置くべきであろう。
そういうわけで、こうなった。
第二象限。酸味が残るという点ではもう少し左に寄せていてもよかったかな。
8:シナノスイート
1本だけ見切れている。長さがあだになった。
さぁ、飲みくらべもいよいよ最後だ。「シナノスイート」。
スイートと名前につくだけあって、甘さ、おいしさに期待がかかる。
兄弟の「シナノゴールド」との差も気になるところだ。胸が高鳴るぞ。
・クセのない甘さ。「シナノゴールド」よりも甘い。
・あっさりした甘さ。子どもはぜったいに好きだとおもう。
・逆にさっぱりしているぶん「シナノゴールド」のほうが甘く感じる。
こちらもまた意見が割れた。
その名の通り甘さはつよいのだが、さっぱりした後味で軽く飲めてしまう。
個人的にはもったりした甘みの「シナノゴールド」が甘いとおもったのだが、
甘さ自体を取るべきか、あとに残る甘味を評価すべきか。難問である。
悩んだ結果、後味のトータルで「シナノゴールド」より気持ち甘味は控えめ、という判断をした。
結果発表
参加してくれたみんな、どうもありがとうございました。
さて、飲みくらべが終わった。
上の結果について、わかりやすいように色付けをしてみたのがこちらである。
以上がおれの記した結果である。
好みのものをひとつあげるとするならば、「シナノゴールド」が気に入った。
酸味のかけらもない、とにかく甘さが最初から最後まで残るりんごだ。
ひとによっては、甘いだけでおもしろくないと感じるかもしれないが、
おれはお子さまなのでこういうのがすきなのだ。
さて、それでは5人の友人たちはいったいどのような評価を下したのだろうか。
まずは、この日岡山帰りでそのまま駆けつけてくれた宗教さん()の結果である。
ぜんぜんちがう。
まずは「ふじ」の立ち位置からしてちがう。これは失敗だった。
「ふじ」は十字の中心にする、などの統一した基準を作っておけばよかった。
かんぜんに段取りの失敗である。
ただ、「ブラムリー」が最も酸っぱく、「シナノゴールド」よりも
「シナノスイート」のほうがあっさりしていること、
「つがる」があっさりで「秋映」がコクのある味わい、というのは共通している。
ちなみに、推しりんごは「秋映」だそうだ。
※わかったこと1 飲みくらべをするとき、基準はしっかり決めておかねばならない。
続いては、「ハルキっぽい」シリーズの著者であるもひもひさん。
「シナノスイート」の甘味がつよいが後味はすっきり、という部分を↓で
表現してくれた。さすがの分析力である。
やはり評価には大きく差があるものの、
「ブラムリー」と「つがる」の位置はわかりやすいようだ。
推しりんごは同じく「秋映」。
続いては女性のトニックさん。彼女はどんな評価を下したのか。
比較的おれと似ているが、全体的にコクがある寄りの評価だ。
「グラニースミス」が甘い側にきているのも特徴か。
推しりんごはもっとも甘いと評価した「シナノスイート」。
4人目はTKMさん。独特な視点の持ち主である彼は、いったいどう判断したのか。
比較的中央のラインに寄っている評価を下したTKMさん。
「ブラムリー」や「ふじ」はおれと同じだが、「つがる」をコク寄りに評価した。
推しりんごは特になし。箱推しだ。
最後は評価メモがやたらと的確だったねぎとろちゃん。こんな才能があったとは。
こちらは全体的にすっきり寄りの評価になっている。
「ブラムリー」「ふじ」「秋映」「シナノスイート」あたりは
おれとおなじような位置に評価しているようだ。
TKMさんと同様、「つがる」をコク寄りに判定している。
推しりんごはトニックさん同様「シナノスイート」。
偶然かもしれないが、おれ以外の男性2人が「秋映」、
女性2人が「シナノスイート」を気に入るという結果になった。
※わかったこと2 ひとの味覚は千差万別。
さて、飲みくらべが終わったあとに、
このジュースを出している会社のホームページを探してみたのだが、
このサイトにはなんと、りんごジュースの飲みくらべページもあったのだ。
ページのなかにはチャート表があった。
なんということだ。我々が実験しなくても、すでに結果が載っていたとは。
おお、ならばいったいだれの舌がもっともただしかったのか。
答え合わせをしてみようではないか。
※画像は上記の公式サイトから引用。
誰も合っていなかった。まじかよ。
みんなが中心に寄せていた「ふじ」がいちばん甘いという評価。
いやしかし、「ふじ」も確かにうまかったが、
甘さと酸っぱさのバランスがとれた、うまいりんごジュースという印象だったのだ。
たとえば糖度を調べてみたら、いちばん甘いのかもしれないが、
酸味を感じないことで甘さが際立つ、そういうこともあるんじゃないか。
おそらく、だれもがそう思っていたはずだ。
自分のなかでは、自分の下した判断がすべてなのだ。
おれとあなたが同じものを飲んで、おなじように感じるとは限らないのだ。
好みもちがえば、育ってきた環境もちがうのだ。
参考になるかどうかはわからないが、われわれは自分たちなりの答えを出したのだ。
※わかったこと3 どれを信じるかはあなた次第。とりあえず飲んでみて。
ただこの会、ほんとうにたのしかった。
きっと、ひとりでやってもおもしろかったろうとおもうが、
「こんな香りがする」「わかるー」「えー?そうかなぁ?」
そんなことを言い合いながら、みんなでわいわいやると、盛り上がるしおもしろい。
ふだんは知らなかった、友だちの意外な一面にも気づくことがあるのだ。
※わかったこと4 みんなでひとつのことをわいわいやるとたのしい。
例えば、これからの時期、バーベキューのお供なんかにいかがでしょうか。
りんごジュースだから、健康にもいいしね。
ごちそうさまでした。