食べたぶどうを記録していました。
くだものがすきだ。
そのなかでもとくにぶどうがすきだ。
山梨のぶどう園に遊びに行ったら、想像以上におおくの種類があったのだ。
世界には1万を超える品種が存在するのだという。
そのぶどう園にも50種類ものぶどうが植わっていた。
色・かたち・大きさ・味、そして収穫の時期。どれもこれも、ぜんぜんちがう。
おもしろいなー、とおもって、気づいたらハマっていた。
というのがじつはもう7年ほどまえのことだ。
毎年夏になると、いろんなぶどうをたくさん食べて食べて食べまくってきたのだ。
そして今年、食べたぶどうを写真に収めてきたので、まぁちょっと見てください。
昔から、個性的なものがすきなのだ。
ぶどうとりんごとみかん、それはちがってあたりまえだ。
これらを繋ぐのは「くだもの」というくくりだ。
ひとと犬とワオキツネザル。みんな「ほ乳類」というのとおなじである。
「ぶどう」というひとつの果物のなかで、さまざまな個性が見えるのだ。
ひたすら甘いやつもいる。さっぱりしたやつも、でっかいやつも。
ひとりだけ大きく時期をずらしてやってくる、のんびり屋さんもいる。
なんかちょっと人間に見えておもしろいじゃないか。
みんなちがって、みんないい。
とはいえ、さすがに7年もぶどうを食べていると、好みもある程度はっきりしてくる。
香りが強かったり、ちょっとくせのあるやつはあまり得意じゃないのだな、
ということもさすがにそろそろわかってくるのだ。
なので、今回載せるぶどうはすべて、おれ基準でまた食べたいと思うものばかりだ。
もし来年、どっかで見かけたら食べてみてください。おもしろいよ。
ご存じぶどう界のトップバッター。
こいつが出てくると、ああそろそろシーズンだな、とおもう。
開幕投手みたいなやつである。
甘くておいしい。粒がちいさくて、食べづらいのが唯一の難点。
なぜかわが町産のデラウェアはふつうのやつの1.5~2倍はあるのだが、
どういう育てかたをしているのかがすごく気になる。なんなんだ。
右が山梨産、左がわが町のデラである。親子みたいだな。
好み度:☆☆☆
サニールージュ
デラウェアはうまいけど、ちいさくて食べづらい……という欠点を解消すべく、
デラウェアの親分みたいなやつと、ピオーネをかけあわせてつくられたぶどう。
デラと巨峰のいいとこどり、味はかなりデラ寄りというかんじ。
巨峰よりも小さいものの、デラの3倍はあろうかという大きさ。
今年は偶然、「生育が遅れたのでほっといたら完熟になってしまった」という
サニールージュを食べることができたのだが、信じられないくらい甘くてうまかった。
スーパ―でもよく見かけるので食べてみてください。うまいよ。
好み度:☆☆☆☆
キングデラ
デラウェアはうまいけど、ちいさくて(以下略)という欠点を解消すべく、
デラウェアの親分みたいなやつと、マスカットをかけあわせて作られたぶどう。
デラの1.5倍くらいの粒で、まさにキング!とおもわれていたのだが、
最近は後継品種のサニールージュにお株を奪われて、どんどん見なくなってきた。
ぶどうの世界にも世代交代があるのだ。
大きさではかなわないキングデラだが、
こいつはほのかにマスカットのいい香りがする。
ちょっとお上品なやつなのだ。
もう一花咲かせてほしいな、とおもうのだが、むずかしいだろうか。
好み度:☆☆☆☆
サマーブラック
一目見て巨峰だとおもっただろう。そうだ、巨峰のなかまだ。
ただこいつ、めちゃめちゃかたいのだ。
巨峰だとおもって口に入れると、予想外の食感につい笑ってしまう。
歯ごたえがある、というか、音にすると「パキッ」というかんじだ。
巨峰をちょっとお上品にしたような味。サイズは巨峰よりやや小ぶりかな。
あまり一般には売っていないので、ぶどう園や直売所をさがしてみるといいとおもう。
好み度:☆☆☆☆
黒いバラード
8月あたまごろに「ベニバラード」という品種が
売られているのをご存じだろうか。あれの仲間だ。
育てるのがむずかしい上に手間もかかるらしく、スーパーでは売られていないが、
一部のぶどう園で栽培されては人気がでているらしい。
食べるとこれがめちゃめちゃ甘い、というか、黒糖のような風味があるのだ。
これがぶどうなのか!?とおもうくらいの味なので、ぜひ一度は食べていただきたい。
すっごくうまいよ!
好み度:☆☆☆☆☆
安芸クイーン
赤いぶどうだが、巨峰のなかま。
色がつきにくいという大きな欠点があって、なかなかスーパーには出回らないのだが、
これがまぁ甘くておいしいんだ。洗練された巨峰ってかんじ。都会に出た巨峰。
ひとは見た目によらないんだぜ、そんなことを教えてくれるようなぶどうだ。
後継品種に色づきを改善した「クイーンニーナ」というぶどうもあるのだが、
こっちの味の方がすき、というかたもおおいらしい。
好み度:☆☆☆☆
シャインマスカット
ご存じ、みんなだいすきシャインマスカット。
・めちゃめちゃおいしくて皮ごと食べられて種なし、でも病気によわくてすぐ割れる
・めちゃめちゃおいしくて皮ごと食べられるけど、病気によわくて種なしにならない
・めちゃめちゃおいしいけど、ガラス温室のなかで手をかけないと育てられない
・めちゃめちゃ丈夫で育てるのは楽だけど、皮が食べられずに種なしにならない
という長所と欠点をもった4つのぶどうをかけあわせた結果、長所だけが残ったという
まさに奇跡のぶどう。
青いほうがツヤツヤしていて、きれいでおいしそうに見えるけど、
じつはツヤのない黄色くなっているやつのほうが、ぜったいにおいしいです。
見た目と味が一致しないので、ほんとうにおいしいシャインを食べたい方は、
黄色いやつを選んでみてね。砂糖菓子みたいな味がします。うまいよ!
好み度:☆☆☆☆☆
オリエンタルスター
シャインマスカットの異母兄弟。
かたい歯ごたえ、強い甘味。シャインの兄弟だけあってかなりバランスのとれた
おいしいぶどうなんだけど、なぜだかあまり市場に出ないのだ。
見たかんじ、巨峰とキャラがかぶってるからだろうか。
食べたらぜんぜんちがうんだけど……
スーパーでたまーに売られてるので、見かけたらぜひ買ってみてほしい。
シャインと食べ比べてもおもしろいかも。
好み度:☆☆☆☆☆
ウインク
バッキバキの食感が特徴のぶどう。嚙んだ瞬間わらってしまうほど。
冗談みたいな歯ごたえなのだ。かわいい名前の割にいかついやつである。
味はかなりあっさりしていて、特に特徴はないのだが、
このおもしろい食感はぜひ試してほしい。たまーにスーパーで売ってるよ。
好み度:☆☆☆
あずましずく
福島県でしか作られていないぶどう。巨峰のなかま。
かなりやわらかくて、ウインクとは逆にとろっとした、とろける食感が売り。
甘みもつよいんだけど、巨峰の強烈な甘さとはちがった、お上品な甘さ。
お盆~9月半ばくらいまで売られているので、
福島に遊びにいくことがあったらぜひ買ってみてほしい。個性的でうまいよ。
好み度:☆☆☆☆
ニューナイ
中国からきたぶどう。
ミルクのような、濃厚でコクのある甘さが特徴的。
個人的には3本の指に入るくらいすきなぶどう。
ただしめちゃめちゃ珍しくて、日本では限られたぶどう園でしか栽培していないので、
注意が必要です。
でもぜひ食べてほしいぶどうのひとつ。
好み度:☆☆☆☆☆
京早晶
チンチャオチン、と読む。中国のぶどう。
種なし皮ごと食べられる。シャインマスカットの皮ですら気になるおれが
まったく気にせず食べられるほどの皮のうすさ。
ものすごく甘いとか、際立った特徴があるわけじゃないのだけど、
TVを観ながらとか、何かしながら食べていると気付いたらなくなっているという
「消えるぶどう」。
こちらも国内では限られたぶどう園でしか栽培されていない一品です。
好み度:☆☆☆☆☆
ちちぶ山ルビー
秩父でしか作られていないぶどう。
変わった形に強烈な甘さとうまさ、さらに種なし皮ごと食べられる人気品種。
おれも今のところ、食べたぶどうのなかでいちばんすきかもしれない。
休日は午前中ですぐに品切れになってしまうこともあるそうなので、
ぜひとも予約をしていくことをおすすめします。めちゃめちゃうまいよ。
好み度:☆☆☆☆☆
でかい、種なし、皮ごと、甘い、うまいとものすごく優秀なぶどう。
その代わり、「割れるのが趣味」と言われるくらいに繊細で育てにくいそう。
買ったぶどう園では収穫前日の雨で全滅した、なんて話も聞きました。
シャインマスカットの祖父母にあたる品種で、味は抜群のため、
育種の親としてもよく使われているらしい。
直売やぶどう園ではたまに見かけるので、買えたあなたはきっとラッキー!
好み度:☆☆☆☆
リザマート
ロシアのぶどう。ぜんぜん似てないけど、カッタクルガンの子どもらしい。
カッタクルガンほどじゃないけど、そこそこ大きくて、おいしさは抜群!
個人的にはカッタクルガンよりもこっちがすき。
種なしで皮ごといけちゃいます。
こちらも育種の元になっていて、黒いバラードやちちぶ山ルビーの
ご先祖様でもあるそうです。
で、病気に弱くて割れやすいデリケートなところも親譲り。
勝沼に行けば、カッタクルガンよりは見つけやすいかも。ほんとおいしいです。
好み度:☆☆☆☆☆
翠峰
すいほう、と読みます。緑だけど、巨峰のなかま。
一般に売ってる緑のぶどうだと、たぶんいちばん大きいんじゃないかな。
巨峰の味とは少しちがって、お上品なんだけどしっかりした甘さが特徴。
あずましずくよりもうちょっとしっかり甘いかな。
こちらはたまにスーパーでも売ってます。迫力のある大きさ。
安芸クイーンと並んで、巨峰系のなかではかなりすきなぶどう。
好み度:☆☆☆☆
巨峰のなかま。
安芸クイーンよりもちょっと苦みと渋みもあって、大人の味かな。
甘みも濃厚で、エッジが立っていておいしいぶどうです。
名前の由来はこの品種が生まれた当時来日したゴルバチョフ書記長で、
赤い大粒のぶどうから、彼の赤っ鼻をイメージしたとか。
……それってじつはちょっと失礼じゃない?(笑
これはけっこうメジャーなので、スーパーでも買えますよー。
好み度:☆☆☆
甲斐路
ざわ……ざわ……!(ちがう
比較的昔からある品種で、日本生まれの赤いマスカット。
皮ごといけるけど、品種の特性で種なしにならないのが玉にキズ。
育てるのもむずかしくて、この品種を作りこなせるとプロ、みたいなかんじだそう。
シャインマスカットの祖父母にあたる品種で、ウインクの親でもあります。
スーパーで売られているのは色づきがいい改良品種で、
本来の甲斐路は色が来ないかわりにもっと濃厚な味だそう。
そっちもぜひ食べてみたい!
好み度:☆☆☆
黄玉
おうぎょく。巨峰のなかま。
房もそれほど大きくなく、粒も巨峰とおなじくらい。
とりたてて特徴のなさそうな緑のぶどうだけど、
じつはめちゃくちゃ甘いのです。糖度はなんと最高で26度になるのだとか……!
市販のぶどうのなかでは断トツの1位。
あまりの甘さに、のどが焼けるような感覚になることも……
さいきんではスーパーでも見かけるようになりました。
好み度:☆☆☆☆
クイーンセブン
新・甘みの女王。
シャインマスカットの子ども。
まだまだ新しい品種なので、一般の流通はなく、
栽培は一部のぶどう園だけにとどまってるようですが、
糖度は黄玉を越えてまさかの27度を記録したなんて話も……!
見た目は小ぶりな甲斐路ってかんじですが、
ほんとめっちゃ甘くておいしいのです。
好み度:☆☆☆☆☆
雄宝
シャインの子どもシリーズその2。
こちらも新品種でスーパーなどの一般の流通にはまだ乗ってないのですが、
翠峰を越えるほどのばかでかいぶどう。
同じ品種なのにいい苗木とわるい苗木があって、
めっちゃおいしい「いいほう」と、味のない「だめほう」に分かれているらしい。
なので、ぶどう園でも「うまい」「まずい」と意見が割れてるそうですが、
「いいほう」に当たるとナシのようなシャクシャクしたおいしいぶどうが食べれます。
試してみてはいかがでしょうか。
好み度:☆☆☆☆☆(いいほうの場合)
バイオレットキング
シャインの子どもシリーズその3。
雄宝が緑の王様なら、こちらは紫の王様。
シャインはやや大きいくらいの品種なのに、
子どもがこんなに大きくなるなんて不思議です。
まだ流通に乗ってない品種のはずなのに、なぜか近所のスーパーで売られてて
びっくりして買ったもの。
ただし、味はちょっといまいちだったかな。大きさも本来はもっと大きくなるそう。
今後の出会いに期待したいです。
好み度:☆☆(暫定)
マイハート
シャインの子どもシリーズその4。
でかかったり、甘かったり、特徴のありすぎるシャインの子どものなかで、
こいつのウリはその形。
なんともかわいいハート型のぶどうなのです。
歯のかたちに似てるとか言っちゃいけない。
形だけじゃなくて、味のほうも甘くて、さわやかな味わい。
まだまだめずらしいぶどうだけど、贈り物にはきっとよろこばれるとおもいます。
好み度:☆☆☆☆
恋人
シャインの子どもシリーズその5。のはず。たぶん。
これもまだ流通に乗ってないはずなのに、なぜか近所のスーパーで見かけて
おどろいて買った系のぶどう。
他の子どもたちに比べると際立った特徴はないのだけど、
正統派というか、赤いシャインってかんじのぶどうですね。
個体差がどうなのかわからないけど、
食べたやつはシャインよりちょっと大きめの粒でした。
おいしかった!
好み度:☆☆☆☆
ということで、いかがでしたでしょうか。
ざっくりとした24品種の紹介でした。じつはもっと食べてるんですけどね。
語彙力がないのでなかなか伝わらないのですが、
ぶどうの魅力をちょっとでも感じていただけたらうれしいです。
スーパーで売られているのだと、シャインマスカットとサニールージュ、
黄玉と今回は載せてないですが、ナガノパープルあたりを食べ比べてみていただけたら
おもしろいんじゃないかなとおもいます。
でも、できたらぶどう園に足を運んでいただけたらうれしいなぁ。
おんなじ日に撮った写真(群馬 11月中旬)なんですけど、
品種によって紅葉のしかたがちがうのです。
ぜんぜん色が変わらないやつもいれば、赤くなったり黄色くなったり。
ほんと個性がちがっておもしろいのですよ。
ぶどう狩りに行くのならば、8、9、10月とがらっと品種もちがうので、
ちょっと時期をずらして何度か行ってみるとたのしいです。
ぜひ色んなぶどうを食べてみてくださいね。
我が家で毎年見られる夏の光景です。