Low cost, Low price & High return

音楽に対してはまじめに、それ以外はゆるゆるとへんなことを。月に何度か、不定期に書き綴ります。

長野県・高山村のバス停がすごい

言いたいことはすべてタイトルに書き切ってしまった。
そうなのだ。高山村のバス停がすごかったのだ。

 

いや、そうは言っても、この記事をご覧になっているかたの過半数

「高山村ってどこ?」とおもっていることだろう。

ということで、高山村についてすこしだけ説明をさせていただこう。

 

高山村は長野県北部に位置し、須坂市小布施町

志賀高原群馬県万座温泉とも隣り合っている静かな村だ。

村の中心部に位置する山田温泉をはじめとして、村内には数多くの温泉があり、

アンチエイジングの里としてPRをしている。

 

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温泉めっちゃあるな。うらやましい。しだれ桜も有名なようです。

 

この村へは温泉を目当てに訪れたのだが、その途中ですごいものを見てしまったのだ。

とにかく、まずこのバス停を見てほしい。

 

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「たかやま」と全力でアピールをしてくるりんご。

 

長野と言えばりんごである。まぁ、それはわかる。異論はない。 

 

だが、道路の脇にいきなりあらわれたこの巨大なりんごに

おれはいったいどう向き合えばいいのか。

心が大きく揺さぶられる。

 

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反対側はりんご in the りんごだった。

 

このバス停があるのは、市街地から温泉へ向かうメイン通り。

なんの案内も、説明もなく急に視界に入ってきたこのバス停は

いち観光客であるおれに大きな衝撃を与えるには充分すぎるほどだった。

って言うか……ナニコレ。

 

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バス停の名前は「千本松入口」。

 

いやあ、すごい。

おもわず車を停めて写真を撮りまくってしまった。

なんともインパクトのあるバス停があったものだ。

なかなかおもしろいものを見ることができた。

 

さて、気を取り直して温泉に向かうとするか。

日頃の疲れを癒して、今日はすこしのんびりするのだ。

 

 

 

 

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と、おもった矢先に、続いて反対車線にあらわれたぶどう。

 

長野と言えばぶどうでもある。まぁ、それはわかる。異論はない。 

 

だが、道路の脇にいきなりあらわれたこの巨大なぶどうに

おれはいったいどう向き合えばいいのか。

心が大きく揺さぶられる。

 

おもわずコピペになってしまった。

ぶどうの粒が風船になっていて、ファンタジーさと親しみやすさを感じるデザインだ。

女の子とうさぎの枠のなかは色が反転しているところもポイント。

しかし、それにしてもアピールが過剰である。

この村にはなぜこんなバス停があるのだ。しかも続けて。

 

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反対側は大空。内側の壁にも風船が飛んでいる。バス停のなかで世界観が統一されている。

 

こちらも同じく長電バスの「堀ノ内上」というバス停だ。

こんなインパクトのあるバス停2連発で観光客をお出迎えとは。

くそっ、なかなかやるじゃないか。高山村。

 

そちらがそうくるならば、よし。いいだろう。

こちらも心の準備をして迎え撃つとしよう。

さて、次はいったいどんなバス停が来てくれるというんだ?

 

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「農協前」バス停

 

次にあらわれたバス停はおれたちのよく知るものだった。

ちがう!たしかにあたらしくてかっこいいが、ちがう!

おれが求めているのはきみではないのだ。

 

あんなに目を引くバス停2つを続けて期待をさせておいて、3つめで裏切る。

なんか高山村の手のひらの上で転がされているような気がしてきたぞ。

 

さて、ここでバス通りは県道を離れて横道にそれてゆく。

一度はそのまま進んでしまったのだが、途中で気づいてバス通りに戻ってきた。 

 

だって、気になるじゃないか。

他にもあんなカラフルでファンシーでおもしろいバス停があるんじゃないか?って。

よし、こうなったらとことんこの村のバス停を追っていこうではないか!

行くぞものども!出会え~!出会え~!!

 

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 「樋沢」バス停。気付かずに進んでしまったので、ここからしばらくは進行方向が逆になります。

 

 

気づかずにまっすぐ進んでしまい、

Uターンするかとかんがえていたときに目に入ってきたバス停。

離れたバス通りがこの付近でふたたび合流するようだ。

一見するとふつうのバス停のようだが、もものデザインが入っている。

 

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ここは反対側もふつうのももだった。こういうパターンもあるのか。

 

小さいながら、金属サイディングをつかったかっこいいバス停である。

くだもの型のバス停とふつうのバス停のハーフといったかんじだろうか。

果普折衷といったおもむきのあるもの。うむ、これはこれでひじょうによい。

よし、ここからバス通りを逆に進んで、県道まで戻ってみるとしよう。

 

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「紫」バス停。おお、おなじりんごでも青りんごだぞ!!

 

さきほど見たものとおなじくだものバス停が戻ってきた。

おお、これだ。きみだよおれが会いたかったのは。

千本松入口とおなじ形だが、色使いがちがう。王林かな。

 

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反対側は白を基調にした緑のデザイン。

 

このバス停はやはり青りんごを意識しているらしい。

ここで、このバス停のとなりで農作業をされているご婦人と目が合った。

不審な男とおもわれはしないだろうか、

という不安もあったがお声をかけさせていただいた。

あまりにも気になるこの村のバス停について、少しお話をうかがうことができた。

 

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中はりんごの木。中のキャラは青りんごじゃないのね。

 

―お忙しいところすみません、この村のバス停ってみんなこんな感じなんですか?

「待合所があるのはみんなこうだとおもうわよ。かわいいでしょ。

上のほうにもいくつかあるから、時間があったら見てきたらいいわよ。」

 

―ほんと、かわいくてすてきですよね。いつくらいからあるんですか?

「そうよー、10年くらい前かな。村の子どもたちと、東京だかあっちのほうの

美大のひとたちとでいっしょに作ったのよ。

ワインとか、同じ美大のひとがデザインしてくれた商品もいくつかあるわ。」

 

―へぇ、そうなんですか。すごい!

「次の、小学校前のバス停がいちばんすごいわよ。見てみて。」

 

農作業でお忙しいなか、手を止めて貴重なお話をしていただいた。ありがたい。

それでは、「いちばんすごい」という次のバス停に行ってみよう。

 

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「高山小学校入口」バス停。おおお、たしかにこいつは規模がちがうぞ!

 

でかい!いままでのバス停の3倍くらいはあるだろうか。

なんでも、この村でいちばん利用されるバス停であるため、

スペースを多く取っているのだそう。

内側のデザインが動物さんたち大集合でわいわいなところもいいなぁ。

子どもたちは喜びそうだ。ほのぼのした雰囲気。

緑のぶどうは長野でもたくさん作られているシャインマスカットかしら。

 

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反対側は紫のぶどう。

 

こっちは長野県でしか作ることがゆるされていない「ナガノパープル」だろうか。

このバス停は外側は本来のぶどうそのまんまのデザインだけど、

色がちがうだけで、ずいぶん雰囲気がちがって見えるなぁ。

 

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同じく「高山小学校入口」。ここは反対側にも待合所があった。

 

このバス停はいちばん利用されるというだけあって、上り/下りともに待合所があった。

こちらは、この形では初めてとなる桃のかたちだ。

 

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反対側は子どもの描いたイラスト。

 

 

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内側は美大生のかたが描いたのだろうか。かわいらしい女の子のキャラクターが。

 

上下線でバスに乗る子どもたちの数に差があるのだろうか。

こちらはほかのバス停とおなじサイズだった。

 

さて、ここで「農協前」のバス停まで戻ってきた。
それでは気持ちを新たに、「樋沢」から先に進んでいくとしよう。

 

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「YOU遊ランド入口」。りんごの形は3つめだが、こんどは非実在タイプ。

 

YOU遊ランドとは、温泉やプール、ゲートボール場などの複合施設であるらしい。

あまりにものどかなバス停周辺の風景に驚いたが、

このバス停は名前こそついているが、施設最寄りではないようだ。

 

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反対側は一変して宇宙のイメージ。惑星がりんごの形!

 

 

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左右の色使いのちがいを内側でうまく繋げている。左上にあるのはりんごの太陽かな。

 

ここでバス路線は2つに分かれる。

そのまま直進し、山の中を通っていくルートと、

YOU遊ランドの前を通り、川の反対側の集落を通っていくルートだ。

山の中のルートは途中まで進んだが、このようなバス停がなかったので、

川を渡って反対側の集落ルートから進むことにした。

 

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「中塩」。りんごなんだけど、桃にも見えるようなデザイン。

 

あった!

結果から言うと、こちらのルートには2つのくだものバス停があった。

先ほどのご婦人がおっしゃっていた「上のほう」というのはここのことなのだろう。

 

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反対側は2つめの青りんご。ここのバス停は美大生さんの作品かな。

 

 

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このバス停はおしゃれな雰囲気で統一されている。

 

ここの「中塩」バス停は照明がついていて、ストーブまで置いてあった。

先ほどまでよりもバスの本数が減りバス停で待つ時間が増えるなか、

地域のかたの心遣いなのだろうか。

 

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「宮村」バス停。窓を活用した車のデザインがいい!

 

いよいよ最後のバス停、「宮村」だ。

もしかしたら他にもあるのかもしれないが、おれが現地で探した範囲では

これ以上くだものバス停は見当たらなかった。

 

個人的にはここのデザインがもっとも気に入った。

窓をうまく活用して、車を走らせている遊び心がすごくいい。

小さな子どもが、きっと中から外に向けて手を振ったりするんだろうな。

 

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反対側は虹のアーチ。これも非現実タイプの空色のりんごだ。

 

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上から下がっている飾りも地域のかたがつくったのだろうか?

 

いかがだったでしょうか。くだもの型のバス停をめぐる旅。

おもった以上に多くの種類があり、次はどんなデザインのバス停があらわれるのか、

わくわくしながら散策をすることができた。

この胸の高鳴りがみなさまに少しでも伝われば幸いである。

 

見つけたくだものバス停は計9か所。

かたちはりんごが5、ぶどうとももが2つずつ。

もものうちひとつはハーフなので、

村の推しくだものは、りんご→ぶどう→ももということになるだろうか。

 

美大のかたがデザインを手がけたワイン等も気になったが、

残念ながら品切れで手に入れることができなかった。

 

さて、帰宅後調べたところ、このようなサイトを見つけることができた。

 

 

このバス停をデザインしたのは、東京と神奈川にキャンバスを持つ

女子美術大学という大学のようだ。

また、上のページは第二期のものらしく、

第一期のページが別にあった。

 

このサイトによると、ご婦人にうかがったお話の通り、

くだものバス停たちは主に10年前(2008年)にリニューアルし、

その後「高山小学校前」の大きなぶどうバス停が2011年に完成したらしい。

「樋沢」バス停については触れられていなかったため、

これはこのプロジェクトとは別にできたものなのかもしれない。

 

ただ、このサイトを見ると、10年前の時点で

このバス停の建物自体は存在していたようだ。

 

ではこのバス停の建物はいったい誰がどのようにして建てたのだろうか……?

謎は深まるばかりである。まだまだ調査をする必要がありそうだ。

 

……なーんて、それを口実にまたこの村に遊びに行きたいだけってのはもちろん内緒だ。

 

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温泉もめっちゃ気持ちよかったです。こっちも再調査のひつようがあるな。