大地の芸術祭2018に行ってきた。後編
前回の記事の続きです。
大地の芸術祭に行ってきた。芸術のことはまったくわからないのだけど、とにかくすげぇ!!って気持ちだけはあふれまくってきたので、とりあえず書かせてほしい。
松代エリア つづき
松代エリアがあまりにもおおかったので途中で分割してしまった。バランスがわるくて申し訳ない。とりあえず続きです。
奴奈川キャンパス
この旅行3つめの廃校。こちらの校舎はいままでのより新しめ。D331「奴奈川キャンパス」
きれいな壁だなぁとおもって近づいてみたら……
ぜんぶこれ彫刻だった。うそだろう。まじかよ。D332「大地のおくりもの」という作品。
中にはカフェもある。(遅かったので閉店していた)
「彩風」。きれいで鮮やかだけど、よくよく見ると仏教がモチーフ。番号はなし。なんで?
書で作った凧D341「天上大風」。
D343「ライトの養育所」。心がざわつく。
影が回りながら左右に揺れるD342「アコーディオン」
奴奈川キャンパスは数多くの展示があって、ひじょうに興味深かった。写真で上げているのは一部だけなので、よかったら足を運んでみてください。光源が移動することで、影が左右に動く「アコーディオン」が特によかった。
まつだい「農舞台」
かわったかたちの建物である。わくわくする。
松代エリアの拠点施設である、「まつだい「農舞台」」にやってきた。通常は17時までだが、イベント期間中は営業時間を延長することがあり、当日は19時までやっていた。その他の展示を見てからでも展示を見られるというわけだ。ありがたい。
しかし、おなじ拠点施設でも、「キナーレ」や「絵本と木の実の美術館」には作品No.がついているのに、ここにはついていないのはなんでだろう。
D350「「イダキ:ディジュリドゥとオーストラリアの大地の音」展」
夏に行ったマニアフェスタでタカアシガニリドゥを先に見てしまっていたので、「おお、これが本家本元のディジェリドゥかー!」という感想。ディジュリドゥ(イダキ)とはオーストラリアの先住民族・アボリジニーの楽器だそう。大地の芸術祭のプログラムのひとつとして、ディジュリドゥのコンサートもやったそうだ。
D058「「関係 - 黒板の教室」(教育空間)」。すべてのものが黒板でできた教室。
机や床・壁・椅子にいたるまですべてが黒板になっているという作品。なんとも落書きのしがいがある、とおもっていたら、落書きは推奨されているらしい。「落書きを書いたすべてのひととのコラボレーション」がテーマなのだそうだ。ちなみに、「Bちゃん参上」はわたしじゃないひとに書かれた。
あと、まったく展示とは関係ないのだが、トイレがすごかった。
見るからに異彩を放つトイレ。
中もすげぇ!!そのまま入って……
えええええ……!!
入ったら最後、どこが出口でどこが個室なのかわからなくなるという仕様。すげぇ!
まつだい「農舞台」に来たらトイレにもぜひ。
松之山エリア
いよいよ時間も遅くなってきた。2日目の宿に向かう。
松之山エリアに宿を取ったが、今回は温泉ではない。松之山温泉もいいところなんだけどね。
三省ハウス
こちらも廃校を利用したドミトリータイプの宿泊施設。1枚目は翌朝撮影。
中身はそのまんま学校。夜の学校ってテンションが上がりませんか。
ドミトリーなので、男女別の相部屋。わたしのところは8人部屋でした。
食堂。ご飯とお味噌汁はおかわり自由。おいしかったです。
Y109「Lost Winter」。三省ハウス内にもアートがある。
こちらの作品は20時からの25分間、宿泊者限定のナイトプログラムがある。ふつうに見てもおもしろい作品だけど、ぜひ泊まってご覧いただきたい。
朝食。お米がほんとうにおいしい。
三省ハウスにはもうひとつアートがある。Y045「ラトビアから遠い日本へ」。
じつは夜間は立入禁止になっているエリアに、もうひとつアートがあるのだ。せっかくなので、見ておこう。ラトビア生まれの、すべて一品ものの家具という作品である。
越後松之山「森の学校」キョロロ
3日目は引き続き松之山エリア。「キョロロ」からのスタート。三省ハウスからもほど近い。
松之山エリアの拠点施設、Y019「越後松之山「森の学校」キョロロ」。煙突のような塔がある。
Y041・Y102・Y103・Y104「空想×体験!里山のミクロとマクロのいきものラボ」の一体。段ボール熊。
常設展示のひとつ「おもしろボックス」。アイドルがよく番組でやらされるやつ。
ずいぶんと馴れ馴れしい侵略者。
「志賀夘助コレクション」もキョロロの常設展のひとつ。ここには蝶の標本が山ほどある。
これ、香川照之さんが着てるやつじゃないの?
「キョロロ」は自然科学をテーマとした研修施設だそうで、中には生きものをテーマにした展示がたくさんある。塔の上まで登れるので、ちょっとたいへんだけど、ぜひとも上ってもらいたい。天気が良ければ、きっとすごい景色が拝める、はずだ。
なお、当日はざんねんながらものすごい雨だったことを付け加えておく。
最後の教室
Y052「最後の教室」。旧東川小学校をほぼまるまる舞台にした、大規模な展示。
この旅5か所目の廃校はこの作品。光と影を巧みに使ったそのさまは、とにかく深く印象に残った。Y101「影の劇場 〜愉快なゆうれい達〜」もおなじ会場で展示されている。
夢の家
とにかくインパクトのつよい作品がおおかった3日目。そのなかでも1、2を争うほどインパクトがあった作品でした。作品No.はY013。
外観は一見ふつうの民家のようだが、入るとちょっとただごとではない雰囲気。
宿泊することもできる、その際はこちらのパジャマを着用。
TVの画面がDVD読み込み中のままになっていたのもきっとアートの一環のはず。
こちらの作品は泊まった旅行客が、見た夢を備え付けのノートに書き記すところまでが作品になっている。写真撮影は自由だが、そのノートだけは撮影厳禁となっていた。
その寝室が、あまりにもすごかったのだ。
寝室は4つあり、各部屋ごとに色が決まっている。青に緑。
寝る場所はベッドではなく、棺のなか。めちゃめちゃこわいんですけど!!!
4つある寝室は2階にあり、2階は2つのフロアに分かれている。階段が2つあり、階段の上に2つづつ部屋があるようなかたちだ。
ひとつめのフロアは寒色系の青と緑。もうひとつのフロアはどんなのだろう。
紫の部屋。こわいが、少し荘厳な気配もする。そして……
赤の部屋である。こわい!こわすぎる!!
ほかの3色もすごいが、この赤の部屋はとくにすごかった。
めちゃめちゃ不穏である。心がざわざわする。本能が「ここにいては危険だ」と警告を発し続けている。部屋が赤いだけでこんなに落ち着かないとは。金田一少年の事件簿で赤い部屋のホテルに泊まる話があったが、金田一よく泊まれたな。
じつは階段の下から丸見えなのでした。しかしそれにしてもこの不穏さよ。すでに上に上がりたくなかった。
津南エリア
続いては津南エリアに足を伸ばした。ここでお昼ご飯の予定を取っているのだ。スムーズな移動がカギとなる。「土石流のモニュメント」「サイフォン導水のモニュメント」をさらっと見学して、駆け足で回る。
ワープクラウド
小学校→繊維工場と移り変わり、現在はアートに、M058「ワープクラウド」。
見た目からしてさいこうにわたし好みだったわけだが、中の展示もすばらしかった。工場の期間のほうがながかったようだが、廃校にカウントしてもいいのだろうか。6か所目。
球体が等間隔に吊るされている。作品の中に入ることもできるが、ぜったいに手を触れてはならない。
2枚目、3枚目の写真を見てほしい。真横から見ても、斜めに見ても、必ず球体の消失点がわかるようになっている。少しでも触って球体の位置がずれてしまったら、この作品は意味をなさなくなってしまう。
2階には球体が地面に置いてあった。この球体が下に落ちていくイメージなのだろうか。
越後妻有「上郷クローブ座」
M052「越後妻有「上郷クローブ座」」。お昼の目的地はここだ。
この「クローブ座」でお昼を予約していたのには理由がある。このレストランがなんと、作品のひとつになっているのだ。
レストランのプログラム、M064「上郷クローブ座レストラン 「北越雪譜」」。
うまそうな写真マシマシでお届けします。
スライドや実演を交えて、ひとつプログラムが終わるごとに料理が一品ずつ運ばれてくるというしくみ。自家製ハムはチャーシューかというおもむき。とてもジューシーでおいしかった。さいこうのおにぎり、さすが新潟の米はちがう。その名にたがわぬうまさ!!
スライドや実演はすべてこの津南地区の歴史のはなし。料理を運んでくれるおばちゃんたちの幼少期の話もあった。
津南ミュージアム・オブ・ザ・ロスト
「クローブ座」とおなじ敷地内にあるM065「香港ハウス(建築設計)」内で行われていた展示。建物はM065だが、この展示のNo.はM066。ちょっとややこしい。
写真に偶然写り込んでいたいたひとをフォーカスした作品。
写真はとうぜん、だれかを狙って撮ったものだ。だがこれは、その背景に偶然写り込んだ「だれか」にスポットを当て、「このひとはどんなひとなのだろう」と人物像を浮かび上がらせていくという作品だった。おもしろい。上の4枚、どのひとがどれだかわかりますか?
中里エリア
いよいよ旅行も終わりに近づいてきた。今日のうちに神奈川まで帰らなくてはならない。ギリギリまで新潟をたのしむのだ。ここも印象的な作品がおおかった。
日本に向けて北を定めよ(74°33’2”)
左側がそう。N010「日本に向けて北を定めよ(74°33’2”)」。右は鳥居。
右側の鳥居はこの大地の芸術祭が始まるずっと前から元々あった名物鳥居だそう。この大地の芸術祭のアートではないが、いわゆる野良アートと言ってもいいのではないか。
この鳥居と「日本に向けて~」のツーショットは大地の芸術祭のポスター等にも使われる、ひじょうに有名な組み合わせなのだそうだ。
しかしほんと、天候に恵まれなかったのだけが悔やまれる。
たくさんの失われた窓のために
N028「たくさんの失われた窓のために」。屋外に突然現れる窓。
この作品は窓から見える風景も作品のうちであろう。作者が作った枠だけを、たとえば東京の丸の内に持っていっても、おそらく成立はしないのではないか。
前回の大猫行列のときもおもったのだが、アートの範囲とはなんなんだろう。そんなことをかんがえさせられる作品だった。そしてざんねんながら、この光景はおそらく作者の意図しない状況なのだろうな、ということもかんがえた。
ライトケーブ
時間的にもいよいよ最後の作品だ。清津峡渓谷トンネルの奥にある、大地の芸術祭を代表する作品に会いに行こう。
トンネルの中をひたすら進む。平日の、終了間際の時間ということもあって、ひとはまばらだった。
途中、数か所横穴があって、柱状節理(ちゅうじょうせつり)を間近で見ることができる。
なぞの輝く構造物があった!とおもったら仮設トイレだった。かっこいいな。工事現場とかにあってほしい。
アートの一環だろうか。いちばん奥の横穴は異次元空間のようになっていた。
いよいよ、トンネルの奥にたどり着いた。わたしがこの「大地の芸術祭」でいちばん見たかった作品である。
この景色を独占できるという贅沢。土日は2時間待ちになることもあるそうだ。N080「ライトケーブ」。
この雄大な景色を水面で反射させるという作品。ひとがあるくと水面が揺れるため、ふだんはなかなかこれだけの景色を見ることはむずかしいだろう。
写真ではわかりづらいが、左右にひとがひとりだけ歩けるスペースがあり、反対側に行くことができる。
反対側から見た図。こちらはなにかのカプセルのようだ。吸い込まれてしまいそう。
正面側からは清津峡の雄大な自然を眺めることができる。この景色に、ことばはいらない。
ほんとうに受付終了ギリギリの時間に行ったため、トンネル内はかなり駆け足になったが、だれもいない独占状態でこの風景を見られたことに満足している。
わずか3日ではぜんぜん見足りないほどの大規模な芸術祭だったが、長年気になっていたイベントに参加することができて、とても満足な気分だ。
3日間付き合ってくれた友人のみきぽさんには感謝でいっぱいである。また3年後、「大地の芸術祭2021」が開催されたあかつきには、ぜひまたちがう作品を見にいきたいとおもう。