「寿司クロワッサン」は本当に流行るのか
きっかけはTwitter相互さんの一言だった。
モーメントで寿司クロワッサンを勧められているんですが……どうなのこれ……
— きむじなー (@kimuGna) 2018年1月4日
おおう、なんだなんだ。その不穏な単語は。
あわててモーメントを確認してみる。
マジだった。
いやいや、うそだろう。なんだよその組み合わせ。ありえないだろう。
いったいどんなものなんだ。
おおう、まさしく寿司クロワッサンだ。そうとしか言いようのないものが出てきた。
申し訳ないがくるってるとしか言いようがない……! pic.twitter.com/9VJ5HzLCC6
— 少年B (@raira21) 2018年1月5日
こんなツイートをした。
まぎれもなく本心である。
さて、このモーメントに出てきた記事を確認してみよう。
なんだ、2017年の記事ではないか。
どうしてだ。なぜ今さらそんなものが掘り起こされてきたのだ。
寿司クロワッサンにがぜん興味がでてきたので、Googleで調べてみる。
他の記事はどうなんだ。
見つかった。しかもこっちは2015年の記事だ。
来てないよ!3年経ってもぜんぜんブームが来てないよ!!
誰だよ「今年流行るのでは」なんていってるやつは。
海外ではともかく、日本ではこれっぽっちも流行る気配が見られないよ!
いや、待てよ。だが、逆に言うといまこの流れに乗れば
みんなに「まだ寿司をご飯で食べているの?」と言えるやつではないか。
そうだ、流行の最先端に乗ってやるのだ。
なんたってサンフランシスコ流だ。横浜も渋谷も目じゃないぜ。
この田舎町からムーブメントを起こすのだ。
よし、そうと決まればさっそく試してみよう。
さっそく材料を買いに行った。
クロワッサンだが、一般的な三日月型のものを用意した。
その時点で若干ちがうような気がしないでもないが、きっと気のせいにちがいない。
そして、1つ目の記事の中に
「寿司ロールというよりは、
ベーグルにスモークサーモンを混ぜたようなものだった。」
という感想があった。なるほど、このクロワッサンはベーグル寄りなのだな。
ということは、ベーグルでも試してみる必要がありそうだ。
と、おもったのだが、このベーグルが売っていない。
スーパーを3軒ハシゴしても売っていない。
田舎町にはベーグルなどというしゃれたものはないのだ。
ううむ、こまったぞ。
と、ここでひとつ「それっぽい」ものに目が留まった。
イングリッシュマフィンだ。その場でちょっと調べてみたら、
イングリッシュマフィンはベーグルと同じ材料で作るらしい。
ということは、これはもう実質ベーグルということだ。
よし、これに決めた。
買ったお店がバレるので、ダムで隠した。
魚のバリエーションも増やしてみた。
サンフランシスコのお墨付きがあるのだ。スモークサーモンがうまいのは当たり前だ。
日本人ならみんなだいすきなマグロ、上品な味わいのスズキ、脂ののったハマチ。
サーモンに加えて、この3種類の刺身を用意した。
さぁ、寿司クロワッサンよ!ここ極東の地・日本でさらなる進化を遂げるのだ!
カリカリに焼いたクロワッサンである。バターの香りがたまらない。
できればこのまま、もしくは追いバターをして食べてしまいたい気持ちが一瞬よぎる。
いやいや、いけない。今日はこの田舎町からビッグウェーブを起こすのだ。
サーモンと海苔を用意。
香りづけにごまをひとかけ。
本来はわさびをたっぷりかけるらしいのだが、今回は省略する。
理由はおれがからいものが苦手だからだ。
さあ、もう後戻りはできないぞ。
・クロワッサン×スモークサーモン
意外とそんなにマズくはない、むしろそこそこイケる部類だ。
サーモンのスモーク臭が食欲を引き立てる。
サンドイッチにサーモンとアボカドをはさんだやつがあるだろう。
それに、鮭のバター焼きという食べものもある。
クロワッサンとサーモンは、じつは案外相性がいいのだ。
ただ、正直なところ、別々に食べたほうがおいしいような気がする。
好み度:☆☆☆
もうちょっとがんばりたい度:☆☆☆☆☆
さて、ベーグルことイングリッシュマフィン。
パンの食感が変わることによってどう化けるか。
オーブンで焼いたマフィンの上に海苔を乗せると、一瞬で張り付く。
また今後役に立たない知識がひとつ増えてしまった。
・イングリッシュマフィン×スモークサーモン
うまい、普通にうまいぞ。
クロワッサンでも案外イケるな、とおもったが、パンに甘味がないだけになおウマい。
今回はそのまま挟むことを意識してみたが、バターを足してみてもいいだろう。
クリームチーズやマヨネーズも合いそうな気がする、とここまで書いて気がついた。
それ、ただのスモークサーモンのサンドイッチだわ。
好み度:☆☆☆☆
こういうものはもうあった度:☆☆☆☆☆
・クロワッサン×スズキ
白身魚もムニエルになったりするだろう、きっと合うのではないか。
そうおもったのだが甘かった。
魚の風味が繊細なだけに、海苔とゴマにすべて持っていかれてしまう。
意外にも、クロワッサン自体との相性はそんなに気にならないのだが、
和のもの同士がぶつかり合ってしまうという誤算だった。
好み度:☆☆
ぶつかったのはそっちだったか度:☆☆☆☆☆
・イングリッシュマフィン×スズキ
海苔との相性問題はパンの種類には関係がなかった。
敵はパンではない。身内にいたのだ。
好み度:☆☆
パンは問題じゃなかった度:☆☆☆☆☆
脂ののったハマチ、寿司ネタのなかで、こいつが5本の指に入るくらいすきなのだ。
さぁ、その力を見せてくれ!
・クロワッサン×ハマチ
よーく乗った脂、じつにこいつがくせ者だった。
ほんのり甘いクロワッサンに致命的に合わない。
甘さで逆に生臭さが強調されてしまう。
うーん、醤油をかけてご飯と食べたかったぞー!!
好み度:☆
やっぱりパンが問題だった度:☆☆☆☆☆
・イングリッシュマフィン×ハマチ
食感の上ではひじょうに一体感をかんじることができる。
歯ごたえのあるマフィン、もっちりしたハマチ。
どちらもとても噛みごたえがある。その点ではサーモンよりも上であろう。
ただ、脂問題が解決していないのだ。
脂の多い魚はどうやらパンと合わないということがわかった。
みなさまにおかれましては今後の参考になさっていただきたい。
好み度:☆
お肉の脂だったらよかったのに度:☆☆☆☆☆
最後に控えているのはマグロである。
ネギトロでは海苔との相性もばっちりだし、
熱いものとの組み合わせも、ご飯の上に乗った鉄火丼として実績が豊富だ。
煮ても焼いてもイケるオールラウンダー。
もっとも色んな調理方法をされている魚のひとつではあるまいか。
・クロワッサン×マグロ
しかし最大の欠点があるのだった。
血なまぐさいのだ。
ハマチのときもそうだったのだが、クロワッサンの甘さとの対比で
血の味がより強調されてしまう。
友人に「マグロは血の味がしてダメだ」というやつがいる。
なにをいっているんだ、こんなにうまいのに。とおもっていたが、
今なら彼の気持ちがわかる。
15年以上の長い年月を経て、ひとはわかりあえたのだ。
マグロ寿司ワッサンよありがとう。
好み度:☆
相互理解促進度:☆☆☆☆☆
・イングリッシュマフィン×マグロ
血なまぐささは変わらない。
もはやパンの種類どうこうでこれに対抗するのは無理だ。
煮るなり焼くなり、マグロ側に何らかの処置を施さねば……!
そして食感がかなりきびしい。
食べごたえのある食感は、おいしいもののときはよりうまく、
■■いもののときはよりハードに感じさせるものなのだなぁ。
好み度:
世界の平和を祈りたくなる度:☆☆☆☆☆
ということで、寿司クロワッサンを食べまくってみたのだが、
やはりスモークサーモンはほかの魚に比べて味わいが段違いによかった。
いや、他のがあまりにもアレすぎて、感覚がマヒしていたのかもしれないが、
意外とうまかったのだ。
やっぱり、選ばれるには理由があるということだ。
特に、「うーん!サーモンサンドが食べたいけど、家にスモークサーモンと
イングリッシュマフィンしかないよ~!」という時には
ぜひとも合わせて食べてみていただきたい。
うん……でも、申し訳ないけど、やっぱり流行りはしないとおもうな。