地味ハロウィン2018に行ってきた。
2018年10月27日。本年もハロウィンの本場・渋谷にて、地味な仮装限定ハロウィンが行われた。3年前に初めて参加して以来、毎年たのしみにしているイベントである。もちろん今年も行ってきた。
しれっと書いてみたがたぶん本場は渋谷じゃない。たぶんアメリカかどっかそのへんだとおもう。誰か知ってたら教えてください。
最初に書いておくが、ものすごく満員だった。一般参加者も、主催のデイリーポータルZで書いているライターも、みな一律に入場規制をかけられたほどだ。めっちゃ公平だな。びっくりした。17時入場開始だったにもかかわらず、30分後にはもうキャパをかんぜんにオーバーし、入場規制がかかり、19時に参加者の入れ替えが行われた。なお、19時以前に入場したひとの再入場も可能だった。そのまま残ったかたもいたが、おおむね皆さま協力的で、のんびり外を散歩したり、公園でゆっくりしたり、居酒屋で充電したりしていたようだ。わたしは充電して21時に会場に戻った。
なんでこんなことになったのかとお思いのかたもおおいだろうが、一昨年→昨年の間もTwitter等でかなり話題になった割に、参加者は微増だった(昨年は台風が接近していたということもあった)のだが、今年は一気に前年比2.5倍の人間が押し寄せたそうだ。これは主催も読めなかったにちがいない。念のために言っておくが、主催を責める気はこれっぽっちもない。誰もわるくない。ただ、この1年で地味ハロウィンを取り巻く環境は大きく変わったといえよう。
まぁ、これを読んでいるひとはたぶん、そんなことよりどんなひとがいたのかを知りたいと思うので、参加者の仮装をパターン別にささっと紹介していきたいとおもう。
1.職業の仮装
地味ハロウィンの王道、実際にいるひとたちの仮装である。「なぜそのチョイスなのか」という部分で笑いを取りにいくタイプだ。
優勝セール中のデパ地下店員
あー、いるいる!というのがわかってもらえるとおもう。
水道屋さんのマグネット広告
ロゴが「水の水道屋さん」になっているのが「頭痛が痛い」みたいでグッとくる。
試飲会に出店中の蔵元
めっちゃ勧めてくるタイプのひとだ。
精進料理を作るひと
「いや~、すばらしい仮装ですね~」と言いながらゴマをすっていた。
コンテストで優勝したパティシエ
トロフィーの日付が今日だったので、優勝してからここに来たのだとおもう。
台湾の中華料理屋の店員
紹興酒もあるのか、と一瞬おもったが仮装だった。
家電量販店にいるケータイ電話のセールスマン
入館証が手作りなのがいい。ほかのひととコラボしやすそうな仮装でおもしろかった。
ハロウィン限定メニューをお勧めする焼肉屋の女性店長
焼肉屋のハロウィン限定メニューってどんなんですかね。かぼちゃ3枚増量とかだったらちょっとやだな。
網を変えにきた焼肉屋のバイト
偶然仮装がかぶってしまい、突然のコラボが行われることもある。今回はステージで焼肉屋合わせという現象が起きていた。
マイクはなんの仮装だろうとおもったら、このひとは取材にきたひとだった。お仕事お疲れさまです。
報道カメラマン
取材が入っているという話を聞いていて身構えたが仮装である。
なお、当日は仮装でない本物のTVの取材もいたが、このような扱いをうけていた。
フジテレビ報道の仮装の人、クオリティ高いな…… #地味ハロウィン pic.twitter.com/OEt1rfCSUB
— もひもひ / 11/4おもしろ同人誌バザール@神保町 出展 (@mo_himo) October 27, 2018
仮装でないひとが仮装あつかいされる、というメタな展開となった。
設営ボランティア
デイリーポータルZのシャツを来たボランティアのかた。もちろんただの仮装である。
節分の時期のセブン店員
会場内でこのひとの周りだけ2月になっている。
2.シチュエーションの仮装
○○しているひと、というタイプの仮装だ。大喜利要素がつよい。
高校3年間のクリスマス(ずっとアルバイトをしていた)
いきなりわたしの仮装で失礼します。「アルバイトをしていた過去の自分」の仮装をした。さきほどのセブン店員のかたと一緒になると、季節感がバグっておもしろい。
中抜けをしていたときに撮った写真。営業妨害で訴えられたらこまるので大急ぎで撮った。
4ヶ月前の渋谷にいたひと
みんなほいほい時空を超えてくるのでこまる。いまは冬なんだか夏なんだか(秋です)
駅前でコンタクトレンズのビラを配るひと&コンタクトの広告入りティッシュを配るひと
初対面のふたりである。仮装がかぶった結果、競い合うようにティッシュを配っていた。
小道具の作り込みがやばい。
で、競い合うふたりにティッシュを押し付けられまくっていたひとが彼女である。
街頭配布を断れないひと
すべてご自分で作ってきたそうだ。入信申込書の裏のチラシに、号外の本文は青空文庫から「ドグラ・マグラ」をひっぱってきたとのこと。センスがやばい。天才かよ。
サークル勧誘のビラを断れない新1年生
断れないのはひとりじゃない。こっちにもビラを持て余しているひとがいた。
大東京大学の面倒部とかいうきわめてめんどくさそうな部活から勧誘されていた
印刷室で学年だよりを印刷している中堅進学校の先生
配っている側のひともいる。このかたは自作の学年だより「飛翔」を配って歩いていた。
中堅進学校のわりに偏差値があまりよくないところもいい
授業参観に「派手な服で来ないで」と言われていたはずの母親
学校つながりでもうひとり。設定でもうおもしろいのに、ネーミングセンスで大勝利。言われていたはずなのに着ちゃったんですよね、お母さん。
ステージ上では授業参観合わせが行われていた。
左から「表参道の卒業式にいる保護者(母)」「授業参観に派手な服で来ないでと言われたはずの母親」「授業参観に来た母親」。
PTA会長のあいさつ
学校の関係者もきわめておおかった。この会長感はなんなんだろう。
バスタ新宿で夜行バスに乗り込む女子大生
これから夜行バスに乗り込もうとするひとがいる。
万全の準備で夜行バスに乗り込んだのにまったく眠れないひと
その一方でこういうひともいる。明け方の足柄SAあたりにこういう表情のひとがたまにいますね。
自分の番でシュレッダーのゴミがいっぱいになったひと
デイリーライターの伊藤さん。ご本人のビジュアルと相まって、あるある感がものすごく出ていておもしろかった。
気になっている女子社員だけのつもりが、社員みんなのお昼を買いに行くことになってしまったサラリーマン
設定が無駄に凝っている。この表情も込みでさいこうによかった。
台風の日に軽装で外に出てしまったひとと台風の日に外に出されるニュースキャスター
すてきなコラボ。女性の演技力が半端なくて、傘がものすごくなびいていた。
逃げたネコを探す飼い主
焦燥感と疲れたかんじがでている表情がすてき。
「かわいい」「とてもかわいい」「やっぱりかわいい」「どうしようかわいい」「かわいすぎて困った」
わかった、わかったから。
温泉から上がったらスリッパがなくなっていたひと
個人的にめちゃめちゃすきだった。これぞ地味ハロウィン!と拍手を送りたい気持ち。
「しかたなくひとのスリッパを取るひと」に進化
こうして不幸の連鎖がはじまっていくのである。
スリッパを自作するという気合いの入りかたまでさいこうだった。
泥酔ギャル
たのしいハロウィン会場で飲みすぎたひとがいた。だいじょうぶなのか。心配だ。
救護スタッフがやってきた。はやく!はやく連絡を!!命にかかわるぞ!!
警官「なにをやっている!道を開けなさい!!写真を撮るんじゃない!!」
「やめてください」「あなたたちは自分の親が倒れていても写真を撮るんですか!」「倒れているときに写真を撮られてうれしいんですか」などとヤジが飛ぶなか、ギャルが「あたしは撮ってほしいんだけどな~!」とボヤいていたのがこの日いちばん笑った。
とうぜんのことながら、全員ただの仮装である。
長野から新幹線で渋谷のハロウィンに参加しにきたけどスーツケースを預ける場所がなくて途方にくれるひと
入れ替えのときに外で撮らせてもらったら、仮装じゃなくなった瞬間があった。
3.あるある型の仮装
あー、なんか見たことある!という仮装である。それっぽい、なんかいそう、というところをうまくついているかたがおおかった。
CM明けに素顔がわかる大物俳優
めちゃめちゃウケていた。顔バレがこわいかたには、こういう手段もある。
警察密着24時の容疑者
素顔を隠した仮装その2。大物俳優と容疑者という真逆のチョイスがいい。
米粒を落としてカピカピになっちゃったひと
見つかると「いつから付いてたんだろう」ってめちゃめちゃ心配になるやつだ。
ヤママユガがついているのにまったく気づかない女子大生
ご飯に気づかなければ、ガにも気づかない。鈍感な女性がおおかったのも今年の特徴だ。
昭和の事務員
このひとの地味な感じ、ほんとうによかったなぁ。
着ぐるみの中のひと(休憩中)
ペットボトルとタオルがほんとうにそれっぽい。こういうこまかいのすきです。
主人公の同僚
去年の主役「SNS女」さんは今年もフロアを沸かせていた。少女マンガの登場人物だ。
このあと、「主人公」が登場し、壇上でコラボをすることとなる。
さっき誕生日サプライズをされた女
サプライズがきらいじゃないタイプの女性ですね。
手ぶらなのに柿をもらったひと
このかたずっと柿を持ってて、たいへんそうだけどめっちゃおもしろかった。
受かったひと
このめちゃめちゃテンションたかい表情がたまらない。
開運グッズを買ったら人生が変わったひと
雑誌の後ろのページに載っている広告だ!!
修学旅行生の心霊写真
「おわかりいただけただろうか」という声が脳内で再生されるやつ。
最終日の教育実習生と調理実習ではしゃぐ小学5年生
偶然出会ったふたりなのに、ポージングがキマりすぎていた。
ライブを後ろのほうで見るひと、前のほうでみるひと
動きも合わさって、めちゃめちゃおもしろかった。友達同士で合わせてきたそう。
女オタクの集団
左から「同人誌即売会で大手サークルの最後尾札を持つオタク」「2010年ごろの女子中学生のオタク」「慌てて出てきたためドスッピンだがメガネとマスクで隠しているつもりのズボラオタク」「フォロワーに会うために初めて東京にきた女子高校のオタク」「オタクがバレないように擬態している女」。
「おっ、オタクなんですか?このアニメは知ってますか」とほかの参加者が話題を振った瞬間沸く5人。オタクなのは仮装だけじゃなかったのがさいこうにおもしろかった。
路上詩人
こういうひといそうっていうのと、フリップ芸を両立させているにくい仮装だった。
愛するし、出会いに感謝しがち。
メタな要素もあってほんとうにずるかった
アキバに行きたい外国人観光客
壇上で「アキハバラハ ドウヤッテ イッタラ イイデスカ?」と発言して会場を爆笑の渦に巻き込んでいた。今年は外国人の参加者もひじょうにおおかった。
なお、セーラームーンもアニメも特にすきなわけではないそう。
なにかの親善大使
なにかのってなんだよ!!全体的にもやっとしてるけど、めっちゃわかる。地味なのに派手。スター性があるのに地味という、すごい仮装。
4.知らないけど知ってる仮装
概念的なものだったり、いるかわからないけどいそうなひとの仮装である。
探偵
マンガの主人公の探偵。実際にいたら逆に目立ってしかたないやつだ。
試食販売員に変装する探偵
女装して潜入調査をしている最中。探偵なのでカメラは欠かせない。
マラソン大会中にめんどくさくなって電車に乗ったひと、カープ優勝セール中の家電量販店店員
マラソン大会中にめんどくさくなって電車に乗るひとが実際いるのかはわからないがめっちゃわかってしまうやつだ。そしてとなりの店員さんが、ここがいったいどこなのかをさらにわかりづらくしている。共通点のまったくないコラボも趣深い。
ラーメン屋の本棚係
本棚係なんてものがあるのかどうかは知らないが、思わず納得してしまう本のチョイスである。
風呂掃除の途中で宅配便が来て受け取りに行くひと
そんなシチュエーションがどれだけあるのか!?とおもうけどなんかわかるやつだ。
ドーバー海峡横断部
27歳~35歳くらいまでのひとにはたまらんやつである。知らないひとはググってみてください。
家族に「おやすみ」を言いにリビングにきた6歳児
概念としての6歳児。
仕事終わりのロシアの警官(モスクワ)
ロシアの警官がどんなものなのか知らない、なのになんかわかってしまう。
なお、このかたは終始ニセロシア語で話していたが、なんかめちゃめちゃそれっぽかった。すごい。
ステッカーで顔を隠しているひと
「こんな人間はいないが誰もがしっているやつ」の極致である。
5.その他の仮装
いるはずないんだけどつい笑ってしまうような仮装や無機物の仮装である。
「こんなプライム会員いないだろ!!」というツッコミが数多く聞こえてきた。ツッコミ待ちの仮装だ。
Photoshop (CS6以降)
「いつもありがとうございます」「なんで昨日止まったんだ」などと賛否両論だった。
ほらもうそっくりである。
プラカードを掲げるひと
あなたはいったいなにを主張しているんだ。
色んな部活の助っ人を頼まれて断れなかったひと
弓道部の袴、剣道部の胴と竹刀、バレーボールに卓球部のユニフォーム、水泳帽とゴーグルをかけている。めちゃめちゃスポーツ万能なのに押しによわくていいひとそうだ。
今年もたのしい仮装が目白押しだった。
例年はフロアで勝手にコラボが始まったり、写真の撮り合うなどの交流があったのだが、今年は満員だったため、そういうたのしみはすくなかった。このひととあのひとを一緒に撮りたいな、とおもう組み合わせはおおかったが……
来年以降も動員が増加する傾向が続くようであれば、例年人気だったほかのひととの「合わせ」を意識した仮装は廃れ、キャッチーなポーズのあるものがより人気になっていくのかもしれない。
地味ハロウィンの今後から、目が離せない。
会場の案内も、改行のだめさも地味だった。
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