いま、宮ヶ瀬が熱い!
神奈川県に宮ヶ瀬というエリアがある。
冬になるとちょうでっかいクリスマスツリーができて、
家族連れやカップルでにぎわう、清川村の「宮ヶ瀬湖」があるエリアである。
湖畔園地のあるこちらのイメージで語られることのおおい宮ヶ瀬だが、
今年の夏、そのちょうど反対側、愛川町にある宮ヶ瀬ダムのあたりに遊びに行ったら、
これがまたちょうたのしかったのだ。
せっかくなんで聞いてください。
きっかけは学生時代からつるんでいる、友人3人とのLINEからだった。
「お盆にどこか遊びに行こう」との提案に、
後輩Aが「ねぇ、バターづくり体験やりたくない?」と返してきたのだ。
バターづくり……そういえば小学生のときやったよな。
あれから10年以上、おれたちはバターづくりから遠ざかっている。
「いいね」「やろう」「おもしろそうじゃん」
速攻で前のめりになるおれたち。そうだ、これはおとなの遠足だ。
いつもは死んだ目をして働いているおれたちが、
この日だけはあの頃の、毎日がキラキラしていた日々を取り戻すのだ。
社会に対する反逆だ。もう誰もおれたちを止められない。
そしていざ当日。おれたち4人は愛川町の「服部牧場」にやってきた。
あいにくの雨だったが、開園時間20分前に到着するという気合いの入りようだった。
その気合いがなぜ仕事に生かされないのか、という野暮なことは言ってはいけない。
なぜかめっちゃ気合いの入ったデコトラがあった。
おれの中にある牧場のイメージを全力でぶっ壊しにかかっている服部牧場。
「家畜公園」 という言葉のパワーワード感すごくないですか。
(実際は動物園の鳥さんコーナーみたいなかんじのところでした)
開園時間になったので、工房のなかへ。
「牧場のソフトクリームってぜったいうまいよねー」なんて話しながら、
まずは10時のおやつとしゃれこみますよ。
なによこのジェラート、めっちゃうまそうなんですけど。
99%ソフトクリームを食べる気満々で来たのに、ここにきて気持ちに迷いが生じた。
「迷ったなら、両方食べればいいじゃなーい」と
おれのなかのアントワネットがささやいたので、ついどっちも頼んだ。
後悔はしていない。そしてあいつはきっとアントワネットじゃない。
なぜか全身を装飾されたデコ牛や
牛さんの解説をしているだけのはずなのに、なぜかおなかが空いてくる展示
「とりあえずどっちの鳴き声もめっちゃ濁音がすごい」ということがよくわかる
ヤギとヒツジのちがいの展示を見ながら、
さあ、いよいよバターづくりですよ!
そうだそうだ、こんなだった。
けっこう長いこと振らないとだめだったんだよなー。
振るぞー!
しゃかしゃかしゃかしゃか……!
「どう、ビンの中透けてきた?」
「いーや、まだまだ」
「見て見て!こっちちょっと色薄くなってきたんじゃね?」
「ええー?どこがだよ!ぜんぜん変わってねーじゃん!」
なんてことをわいわい言いながら。
子どものころのようなやり取り。
ああ、そうだ。あの頃は毎日みんなこんなんだったなー。
独身アラサーにもなると、こんなことをする機会ってふつうないもんなー。
おれたち以外の体験者は全員家族連れと
大学生のカップルでしたが
そんなことは気にしないことにします。
気にしたら負けだって誰かが言ってた。
20分くらいビンを振り続けて、完成!
まだもうちょっと牧場を楽しみたいので、
係のお姉さんにできたてのバターを預かってもらって、そのへんをぶらつきますよ。
べつの建物ではソーセージを売っているお店が。
あらびきソーセージはわかるけど、きぬびきってなんだろう。
色々話しながら歩いてきたので、もうお昼前だし、おなかもすいてきたから
ここでごはんにしましょうか。
「迷ったのなら(以下略)」とにせアントワネットがささやいてきたので、
問答無用で両方買った。なんならフライシュケーゼサンドとポテトも買った。
きぬびきって、ようするにふつうのソーセージなんですけど、
中身がものすごくなめらかなんですね。めっちゃ裏ごししてるのかな。
とにかくうまいです。
あらびきもうまかった。でも食事としてはフライシュケーゼサンドがやばいくらいに
おいしかったですよ。
あー、これ書いてるだけでまた食べに行きたくなってしまった。
そんなに大きい牧場ではないので、半日でだいたい目的を達成してしまった。
うーん、このあとはなにもかんがえていなかったぞ。
でも近くに宮ヶ瀬ダムがあるらしい。じゃあとりあえず行ってみるか。
行けば何かしらあるだろう。
そんなかんじでゆるーく次の目的地が決まったのです。
そこに何があるかなんて、そのときはまだだれもぜんぜん知らなかった。
そんなわけで「県立あいかわ公園」に来ましたよ。
すげぇ、電車走ってる。お盆ってことで、めっちゃ親子連れがたくさん。
奥の方になにやら施設があるらしい。とりあえず進むことにしましょうか。
どっちだよ。
道ないぞ、そっち。
とか看板にツッコミを入れながら、わいわい話して歩いてたら着いてしまった。
あいかわ公園の奥にある施設、「工芸工房村」。
ところでいったいこいつはなんの顔ハメなんだ。
子どもたちがいっぱいだけど、すみませんね。
ちょっとお兄さんたちも仲間に入れてくれるかな。
出迎えてくれたのはなぞのからくり。
ハンドルを回すと猫が獲物をねらうぞ。
うおー!すげー!!とか言ってグルグル回してたら、後ろに子供が3人並んでた。
ごめん。悪気はなかったんだ。
色とりどりのあんどん。
五輪わなげ。
色んな展示がありましたよ。
そしてなんと体験コーナーも!これはもう、やるっきゃないでしょ。
紙漉き体験に参加してみました。和紙のハガキを作るコース。600円だったかな。
係のかたに話を聞きます。こうやって作るんだねえ。
ぜんぜん関係ないけど、エプロンの愛川町アピールがすごかった。
容器を準備して
セットしたら
和紙のもとが入った水をすくって
Shake! Shake!
水をかけるのはぞうさんジョウロだった。かわいい。
水分を飛ばしますよ。どんなハイテクな機械かとおもったら、
下に業務用の掃除機がセットされていました。そういう使いかたあるんだ!
熱い鉄板に張り付けて、ローラーでコロコロして乾かします。
角が丸くなってしまうので、押して伸ばして。
ハガキのかたちができましたぜ。
郵便番号のスタンプを捺します。
模様のスタンプもあるから、裏に捺せば自分のオリジナルハガキができるよ。
わー!やばいなこれ、ちょうたのしいー!!
お札の原料とおなじ材料でできてるらしいけど、主張がはげしい。
まさかまさかのバターづくりからの紙漉きですよ。
いやおもしろい。ちょうたのしい。
家族連ればっかりのところにいきなり微妙な年齢のお兄さんお姉さんが入ってきて
スタッフのかたにおかれましてはかなり微妙な顔をされていたような気もしますが
そんなことは全力で脇に置いといてめっちゃたのしかったです。
さてさて、今日は宮ヶ瀬ダムの観光放流があるらしい。
間に合うのか、ちょっとあやしいぎりぎりの時間。急ぎましょ。
工芸工房村から10分くらいで着いたかな。
間に合ったー!
おっ!?
おおー!!
4分間に渡るド派手な放流。すごい!これすごいよ!!
アラサー4人で「うぉー!すげぇー!!」とか盛り上がっちゃうくらいにはたのしい!
さて、ダムの上にはエレベーターと、「インクライン」って乗りもので行けるらしい。
エレベーターは無料。インクラインは往復300円(片道は200円)。
いやー、でもここはさ、もうお金払ってでも乗りもの乗る流れでしょ!
のっぺらぼうみたいなケーブルカー「インクライン」。
うおぉぉぉー!こういう乗りものってなんかテンション上がりません?
工事中につかっていたケーブルを活用した乗りものらしいですよ。すげー!!
勾配がヤバイ。
伝わるかなこれ。もう崖ですよ、崖。
さて、ダム上についたら何か建物がありましたよ。
行こう行こう、今日はどんどんぐいぐい行くぞ。
そしてやってきた「水とエネルギー館」。
宮ヶ瀬の水と、エネルギー(ダムでの水力発電のことだね)について学べる館。
展示もおもしろいですよ。そうそう、神奈川の水源は相模川と酒匂川だって、
小学校のときに聞いたような覚えがある。
それはそれでおいといて、ゆるキャラ大集合なぬりえコーナーがあったのですよ。
そしてダムエレキくんのいかつさよ。
力の入れ具合にじゃっかんばらつきがあるような……
後輩Aは清川村のマスコット・きよりゅんに夢中になってました。
いやこれ、たしかにかわいい。
小学生や未就学児にまじってぬりえをはじめる28歳児。
1階のレストランではダムカレーも発売中!
ざんねんながら営業時間はちょっと前に終わってたけど。
そして全国でこんなにダムカレーを食べられるお店があるらしいですよ奥さん!
ダムカードの存在を知ってたので、ゲット!
水とエネルギー館の係のかたに声をかければタダでもらえます。
おれがカードをもらったあとに、子どもたちが「えっ!なにそれ!?」って
あつまってきて、みんなでめっちゃカードもらってました。
思考パターンが子どもと同じ、とか言ってはいけない。
いまいちよくわかんないけど、伝わってくるなんかすごそう感。
ダムカード制覇の旅とかしてるかたもいるんだろうな、きっと。
さて、じゅうぶん満喫したので、そろそろ帰るとしましょうか。
帰りのインクラインに乗って、ダム下へ。
ほらほら、電車型のバスが来ましたよ。あいかわ公園に着いたときに見たやつだ。
ここまで来たら乗っちゃうよね。
ええ、大人だけで乗ってるのはおれたちだけでした。
いいのいいの、今日はおれたち遠足なんだから。
そんなこんなで、めちゃめちゃたのしかったのです。
服部牧場はちゃんとサーチして来たんだけど、あいかわ公園、宮ケ瀬ダム、
何も知らずにふらーっときて、めちゃめちゃたのしい。これはやばいですよ。
ここまで全力で童心に帰れ、とは言いませんが、おもしろいです。
家族連れで来るのならほんとマジでおすすめです。
いや、神奈川県、やるじゃん!宮ヶ瀬、すげーじゃん!!
都心から日帰りできる田舎、もしよかったらみんな遊びにきてね。
あいかわ公園で見かけた、顔ハメの定義を問いかけてくる顔ハメ。